○甲賀広域行政組合消防本部火災原因損害調査規程

平成6年12月27日

消防本部訓令第5号

目次

第1章 総則

第1節 通則(第1条―第3条)

第2節 火災の基準(第4条―第8条)

第3節 調査の体制(第9条―第14条)

第4節 調査上の心得(第15条―第19条)

第2章 調査の実施

第1節 通則(第20条―第25条)

第2節 現場保存(第26条―第29条)

第3節 原因調査(第30条―第39条)

第4節 少年に関する特則(第40条―第47条)

第5節 調査資料(第48条―第53条)

第6節 原因の決定(第54条―第56条)

第7節 損害調査(第57条―第60条)

第3章 火災調査書類の作成(第61条―第63条)

第4章 報告(第64条・第65条)

第5章 り災証明(第66条)

第6章 雑則(第67条―第71条)

附則

第1章 総則

第1節 通則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づいて実施する火災の調査(以下「調査」という。)及びその他必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 調査は、火災の原因(以下「原因」という。)並びに火災及び消火のために受けた損害(以下「損害」という。)を明らかにし、火災予防対策上必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(調査の区分)

第3条 調査は、原因調査及び損害調査に区分する。

2 原因調査は、次に掲げる事項について究明するために行うものとする。

(1) 出火原因 火災に至った発火源、経過、着火物並びに出火箇所及び延焼拡大の状況

(2) 初期消火等 火災の発見、消火及び通報の状況

(3) 避難 火災現場における避難者の避難状況

(4) 消防用設備 消防用設備の使用及び作動状況

3 損害調査は、次に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。

(1) 火災損害 火災によって受けた直接的な被害をいい、消火のために要した経費、焼跡整理費り災のための休業による損失等の間接的損害を除く。

(2) 火災損害は、焼き損害、消火損害及び爆発損害に区分する。

 「焼き損害」とは、火災によって焼けた物及び熱によって破損した物等の損害をいう。

 「消火損害」とは、消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害をいう。

 「爆発損害」とは、爆発現象の破壊作用により受けた前記ア及びイ以外の損害をいう。

(3) 死傷者及び負傷者の範囲は、次のとおりとする。

 「死者」又は「負傷者」とは、火災現場において火災に直接起因して、死亡した者(病死者を除く。)又は負傷したものをいう。この場合、消防吏員及び消防団員については、火災を覚知した時から現場を引き揚げるときまでの間に死亡した者とする。

 火災により負傷した後48時間以内に死亡した者は、火災による死者とする。

 負傷者のうちで、火災に起因する原因により48時間を経過して30日以内に死亡した者を「30日死者」とする。

第2節 火災の基準

(火災の定義)

第4条 火災とは、人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象で、これを消火するために、消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生若しくは拡大した爆発現象をいう。

(火災の件数)

第5条 日本領土内において発生した火災は、その程度のいかんにかかわらず、すべて火災件数として取り扱う。

2 「1件の火災」とは、一つの出火点から拡大したもので、出火から鎮火するまでをいう。

3 飛び火による火災が現場から消防隊が引き揚げた後に発生したときは、当該火災は別件火災とする。

(火災の種別)

第6条 火災は、次の種別に区分する。この場合において、火災の種別が2以上複合するときは、焼き損害額の大なるものの種別とする。ただし、その様態により焼き損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときはこの限りではない。

(1) 建物火災

 「建物火災」とは、建物又はその収容物が焼損した火災をいう。

 「建物」とは、土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興業場、倉庫その他これらに類する施設をいい、貯蔵槽その他これに類する施設を除く。

 「収容物」とは、原則として、柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物をいう。

(2) 林野火災

 「林野火災」とは、森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。

 「森林」とは、木竹が集団して育成している土地及びその土地の上にある立木竹と、これらの土地以外で木竹の集団的な育成に供される土地をいい、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。

 「原野」とは、雑草、潅木類が自然に育成している土地で人が利用しないものをいう。

 「牧野」とは、主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。

(3) 車両火災

「車両火災」とは、次に区分する自動車車両、鉄道車両及び被牽引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。

 「自動車車両」とは、の鉄道車両以外の車両で、原動機によって運行することができる車両をいう。

 「鉄道車両」とは、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客、貨物の運送を行うための車両又はこれに類する車両をいう。

(4) 船舶火災

 「船舶火災」とは、船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。

 「船舶」とは、独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。

(5) 航空機火災

 「航空機火災」とは、航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。

 「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船等の機器をいう。

(6) その他の火災

「その他の火災」とは、前各号に掲げる火災以外の火災(空地、田畑、道路、河川敷、ごみ集積場、軌道敷、電柱類等の火災)をいう。

2 「爆発」とは、人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。

(焼損程度の区分)

第7条 焼損の程度は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定めるところによる。

(1) 全焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加え再使用できないものをいう。

(2) 半焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。

(3) 部分焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のもの又は建物の収容物のみ焼損したものをいう。

(4) ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損床面積が1平方メートル未満のもの又は収用物のみ焼損したものをいう。

(焼損面積)

第8条 焼損面積とは、建物の焼損が立体的に及んだ場合は焼損したことによって機能が失われた部分の床面積を算出し、林野火災については焼損した部分の水平投影面積とする。

第3節 調査の体制

(調査の主体)

第9条 調査の主体は、原則として、火災の発生した区域を管轄する消防署長(以下「署長」という。)とする。

2 甲賀広域行政組合消防本部消防長(以下「消防長」という。)は、署長に対して調査遂行上必要な指示を与えるものとする。

(統括の責任)

第10条 署長は、調査員を指揮して調査を行い、警察その他の関係機関(以下「警察機関」という。)に連絡する等、調査事務全般の統括に当たらなければならない。

(調査員及び調査技術指導者の指名等)

第11条 消防長は、調査を実施するため、本部職員の中から調査員(以下「本部調査員」という。)を指名するものとする。

2 署長は、調査を実施するため、所属職員の中から調査員を指名するものとする。

3 消防長は、調査員の技能の向上を図るための指導者として、調査技術指導者を置くこととする。この場合において、努めて調査実務経験を有する者を当て、実施事項は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 技能の維持向上を図るための指導に関すること。

(2) 調査に係る研修会等の調整に関すること。

(3) 調査書類の作成に関すること。

(4) 調査技術指導者が必要と認めること。

(調査の着手)

第12条 署長は、管内の火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。

2 署長は、出火原因に不審があるときその他必要があると認める火災については、速やかに消防長に報告しなければならない。

(調査本部の設置)

第13条 消防長及び署長は、大規模特異火災等により特に必要があると認めるときは、調査本部を設置するものとする。

(調査の協力)

第14条 署長は、大規模特異火災等により調査のため特に必要があると認めるときは、本部調査員の派遣を求めることができる。

2 消防長は、特に必要があると認める火災については、本部調査員を派遣して調査に協力させるものとする。

第4節 調査上の心得

(調査員の心得)

第15条 調査員は、常に火災の現象、関係法令、その他調査に必要な知識を修得し、調査技術を研究して調査能力の向上に努めなければならない。

(民事不介入)

第16条 調査員は、民事的紛争に関与してはならない。

(相互協力)

第17条 調査員は、相互に連絡協調を図り、調査全般の円滑な進ちょくを期するものとする。

2 職員は、調査員の行う調査に協力するものとする。

(警察機関等との協力)

第18条 調査員は、警察機関等と緊密な連絡を保持し相互に協力して調査に当たらなければならない。

(関係のある者の承諾)

第19条 調査員は、調査を実施するときは、原則として、関係のある者の承諾を得て行うものとする。

第2章 調査の実施

第1節 通則

(権限行使の基準)

第20条 調査の権限は、公正誠実に行使し、いやしくも個人の自由及び権利を侵害することのないようにし、調査上必要な限度にとどめなければならない。

(調査の立会い)

第21条 調査員は、調査に当たっては、必要に応じ、関係のある場所の所有者、管理者、占有者その他の関係者の立会を求めて実施し、調査事務の適正を期さなければならない。

(警察への通報)

第22条 署長は、放火又は失火の犯罪があると認められるときは、速やかに消防長に報告し、所轄警察署長に通報しなければならない。

(他機関への照会)

第23条 消防長及び署長は、他機関に対し調査に関する事項を照会する場合は、火災調査関係事項照会書(様式第1号)により行うものとする。なお、照会先により、照会の要領を次のようにするものとする。

(1) 消防機関に照会する場合は、消防組織法第39条の規定によるものとする。

(2) 警察機関に照会する場合は、消防組織法第42条の規定によるものとし、場合により消防法第35条の13の規定によるものとする。

(3) 前2号以外の官公署に照会する場合は、消防法第32条第2項の規定によるものとする。

(聞き込み調査)

第24条 調査員は、火災状況の見分を行うとともに火災現場(以下「現場」という。)付近一帯の聞き込み調査を行わなければならない。

2 前項の規定により聞き込み調査を行うときは、次に掲げる事項について行わなければならない。

(1) 火災の早期発見時の状況

(2) 出火時の燃焼状況

(3) 出火前後の状況

(4) その他必要な事項

(調査記録の整理)

第25条 調査員は、現場その他の場所において調査上必要と認められることを聞知したときは、その都度記録し、整理しておかなければならない。

第2節 現場保存

(消火活動中の現場保存)

第26条 消防隊員(救急、救助隊員を含む。以下同じ。)は、出火場所及びその付近の消火活動に当たっては細心の注意を払い、調査に支障のないよう原状の保存に努めなければならない。

2 消防隊員は、消火活動のためやむを得ず出火場所付近の物件を移動又は破壊しようとするときは、原状が分かるよう必要な処置をとらなければならない。

(消火活動後の現場保存)

第27条 署長は、消火活動が終了したときは、直ちに次に定めるところにより現場を保存しなければならない。ただし、その必要がないと認めたときは、この限りでない。

(1) 現場保存区域は、警察官と協議し、決定してこれに当たる。

(2) 現場保存区域は、縄張り又は張り札等でこれを標示する。

(3) 現場保存区域は、調査の進行に伴い順次縮少解除するものとする。

(監視員の留意事項)

第28条 監視員を命ぜられた者は、次に定める事項を守らなければならない。

(1) 現場保存区域においては、みだりに現場の物件に手を触れ、又は原状を変更することを防止すること。

(2) やむを得ない事由により、物件に手を触れ、又は原状を変更しようとするときは、指揮者の承認を受け、警察官立会いの上調査に支障を来さない範囲内において適当な処置を講ずること。ただし、緊急の必要があるときは、この限りでない。

(3) 現場保存区域においては、喫煙したり、たばこの吸い殻、マッチの軸を捨てたりその他調査に支障を来すような行為を防止すること。

(4) 家人その他の者に対し、調査に支障を来すような言動をしないこと。

(5) 監視勤務中に、発見し、又は聞知した事項及び状況の変更その他については、漏れなく指揮者に報告し、調査の資料とすること。

(6) 監視員の交代時には、監視中の現場の状況、自己のとった処置その他必要な事項を引き継ぐこと。

2 前項第4号の規定は、監視員以外の消防職員にも適用するものとする。

(焼死者等の取扱い)

第29条 署長は、現場において焼死者その他変死者を発見したときは、速やかに消防長に報告し所轄警察署長に通報するとともに、写真、見取図その他の方法により現場保存に努めなければならない。

第3節 原因調査

(調査の原則)

第30条 調査は、常に事実の確認を主眼とし、先入観念又は個人的感情にとらわれることなく科学的な方法及び合理的な判断により、火災の実態把握に努め事実の究明に努めなければならない。

(調査の方針)

第31条 調査は、物的調査と人的調査を相関的に併せ行わなければならない。ただし、原因の決定に当たっては、物的調査に主眼をおかなければならない。

(物的調査)

第32条 物的調査は、次に掲げる事項について詳細に行わなければならない。

(1) 発火及び出火時刻の推定

(2) 気象状況

(3) 現場を中心とする付近の状況

(4) 出火前の建築物又は工作物及びその他の状況

(5) 消火活動の状況

(6) 燃焼状況

 経過

 結果

 原因

(7) 発掘状況

(8) 出火点及び発火点

(9) 発火源、経過及び着火物

(出火出動時等の調査)

第33条 調査員及び消防隊員は、出動途上、現場到着時及びその後の状況を十分見分し、調査資料としなければならない。

2 調査員又は消防隊員は、前項の規定による見分を行ったときは、火災状況報告書(様式第2号)を作成するものとする。

(実況見分)

第34条 調査員は、現場その他の関係ある場所及び物件について詳細に実況見分を行い、調査資料の収集に努めるものとする。

2 調査員は、前項に定める実況見分を行ったときは、実況見分調書(様式第3号)を作成し、必要に応じ図面及び写真により記録しなければならない。

(写真撮影)

第35条 調査員は、原因決定上必要なものについては写真撮影を行い、写真説明書(様式第4号)に張り説明を加えておかなければならない。

(質問権行使の原則)

第36条 調査員は、関係のある者又は被疑者に質問するに当たっては、任意かつ自由な状態において行い、その場所、時期等を考慮して必要以上に迷惑を及ぼし、みだりに私事にわたることのないようにし、かつ、警察官の行う捜査に支障を来さないよう注意しなければならない。

(被疑者に対する質問)

第37条 法第35条の2の規定により、警察官に逮捕された被疑者に対し、質問し押収された証拠物の調査を行うに当たっては質問証拠調査申請書(様式第5号)により、当該警察署長の了解を得なければならない。

2 押収された証拠物の調査を行う場合は、その原状を変更するおそれがあると認めるときは、警察署長の承諾を得なければならない。

(質問調査)

第38条 調査員は、関係のある者又は被疑者に質問し知り得た事項で原因の決定又は立証に必要と認める事項については、質問調書(様式第6号)に記録しておかなければならない。

2 前項の質問調書を作成したときは、被質問者にこれを閲覧させ、又は読み聞かせ、誤りのないことを確かめさせ、同人が調書の内容について増減変更の申立てをしたときは、その供述を調書に記載しておかなければならない。

3 被質問者が調書に誤りのないことを申し立てたときは、これに署名を求めておかなければならない。ただし、これを拒んだ場合は、この限りでない。

(状況聴取書等)

第39条 関係のある者に対する質問に当たって、原因調査に関係があるもので、質問調書の必要がないと認められる場合は、状況聴取書(様式第7号)に録取し、又は関係のある者からその事実を任意に記載したてん末書を提出させることができる。

第4節 少年に関する特則

(準拠)

第40条 少年が関係する火災調査については、他の法令等に定める場合を除くほか、この節の規定に基づき行わなければならない。

2 この節において「少年」とは、満20歳未満の者をいう。

(処遇)

第41条 少年が関係する火災調査を行うに当たっては、少年の将来を考慮し、温情と理解をもってこれに当たらなければならない。

(立会い)

第42条 少年を実況見分の立会人としてはならない。

(質問)

第43条 少年に対する質問は、必ず立会人を置いて行わなければならない。

(署名)

第44条 調査書類には、少年の署名を求めてはならない。

(特例)

第45条 前3条の規定にかかわらず、火災調査を行うため特に必要があると認めるとき、又は年齢、心情その他諸般の事情を考慮して支障がないと認めるときは、一般の例により行うことができる。

(氏名告知の禁止)

第46条 少年の関係する火災情報を、新聞その他の報道機関から求められた場合は、その少年の氏名を告げ、又はその者を推知させるような方法を用いてはならない。

(精神に障害のある者への準用)

第47条 精神に障害のある者又は視聴覚障害者の関係する調査は、この節の規定を準用する。

第5節 調査資料

(関係のある者に対する資料の提出)

第48条 法第32条の規定に基づき関係のある者又は火災の原因である疑いがあると認められる製品を製造し若しくは輸入した者に対し資料の提出を求める場合は、原則として任意によるものとし、これにより難い場合は資料提出命令書(様式第8号)による提出を命ずるものとする。

2 前項を行使するにあたっては、複数の消防機関又は関係行政機関等から同様の命令が同一事業所に命じられる事態を防ぐため、あらかじめ消防長に資料提出等の命令の内容について照会を行うものとする。

3 第1項を行使した場合は、消防長にその結果の報告を行うものとする。

(関係者に対する資料の提出への準用)

第49条 法第34条の規定に基づき関係者に対し資料の提出を求める場合は、前条第1項の規定を準用する。

(資料の受領及び保管)

第50条 前条の規定により資料を受理したときは、資料提出書(様式第9号)により所有権放棄の有無を確認しておくものとする。

2 前条の規定により、資料を受理したときは資料受理書(様式第10号)を交付するものとする。

3 提出資料を保管する場合は、資料保管台帳(様式第11号)に必要事項を記載し、当該資料に資料保管札(様式第12号)を添付して調査終了まで保管しなければならない。

(資料の返還)

第51条 返還希望の資料で、調査終了後保管の必要がないと認めるときは、保管資料還付請書(様式第13号)を徴して返還しなければならない。

2 資料の提出者が資料の所有権を放棄したときは、調査終了後適宜処分するものとする。

(資料試験)

第52条 調査員は、提出された資料その他参考資料について試験を行うときは、消防長及び署長の指示を受けるとともに、その結果を試験結果書(様式第14号)に記録しておかなければならない。

(鑑定の依頼)

第53条 消防長及び署長は、調査のため必要があると認めるときは、関係のある物件について学識経験者又は官公署に対し鑑定依頼書(様式第15号)により鑑定を依頼することができる。

2 前項の規定により鑑定のため原状を変更し、又は消滅するおそれがあると認めるときは、あらかじめ鑑定(処分)承諾書(様式第16号)を徴しておかなければならない。ただし、返還希望のないものについては、この限りでない。

第6節 原因の決定

(原因決定の原則)

第54条 調査員は、火災状況報告書、実況見分調書、質問調書、状況聴取書及び資料その他知り得た事実を総合的に検討し、科学的かつ合理的に考察して火災の原因を決定するものとする。

(原因決定の区分)

第55条 出火原因の決定の区分は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定めるところによる。

(1) 断定 実況見分調書等の調査書類及び収集した資料を総合することにより、全く疑う余地がなく極めて具体的かつ科学的にその原因が決定され少しの推理も必要としないものをいう。

(2) 判定 実況見分調書等の調査書類及び収集した資料のみでは、具体的かつ科学的にその原因を断定することはできないが、多少の推理を加えることにより疑う余地を残さないものをいう。

(3) 推定 実況見分調書等の調査書類及び収集した資料によっては、その原因を直接判定することはできないが、当該資料を基礎として専門的立場から多少の推理を加えることにより合理的にその原因を推定できるものをいう。

(4) 不明 原因を決定するに足りる内容の実況見分調書等の調査書類及び資料が極めて少なく、これに推理を加えてもその原因を合理的に推定できないものをいう。

(原因判定)

第56条 調査員は、火災の原因を判定したときは、火災原因判定書(様式第17号)を作成するものとする。

第7節 損害調査

(損害の調査)

第57条 調査員は、火災及び消火のために受けたすべてについて、正確に損害の調査を行わなければならない。

(り災の申告)

第58条 消防長又は署長は、損害額決定のための資料として必要と認めるときは、関係者に対し、り災申告書(様式第18号)を提出させるものとする。

(損害額の決定)

第59条 損害額は、り災申告書その他収集した調査資料を総合的に検討し決定しなければならない。

2 前項の算定基準は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号消防庁長官)の基準により算出し、損害額決定書(様式第19号)を作成するものとする。

(死傷者の調査)

第60条 火災による死傷者が発生したときは、その状況を調査し火災現場死傷者状況調査書(様式第20号)を作成するものとする。

第3章 火災調査書類の作成

(火災調査書)

第61条 調査員は、調査を終了したときは、火災調査書(様式第21号)を作成するものとする。

2 前項の火災調査書には、次に掲げる書類を添付するものとする。ただし、重要な要素を含む火災を除き、焼き程度が比較的少ないものについては、添付書類の一部を省略することができる。

(1) 火災状況報告書

(2) 実況見分調書

(3) 質問調書

(4) 状況聴取書

(5) 写真説明書

(6) 現場付近見取図、建物平面図及び出火点付近の復元図

(7) 火災原因判定に係る関係資料

(8) 火災原因判定書

(9) り災申告書

(10) 損害額決定書

(11) その他参考資料

(書類作成上の原則)

第62条 調査書類には、特に定める場合を除き、作成年月日及び職氏名を記入して押印をしなければならない。

2 前項の調査書類の作成に当たっては、平易簡明な文章を用い、事実をありのまま、かつ、明瞭に表現することを旨とし、文字の加除に当たってはその箇所を明白に示し押印しなければならない。

(火災記録台帳)

第63条 調査資料の活用、利便を図るため、調査結果に基づき火災記録台帳(様式第22号)に必要事項を記入し、整理しなければならない。

第4章 報告

(速報)

第64条 署長は、調査を完了し必要と認めるときは、その概要について消防長に速報しなければならない。

(調査の報告)

第65条 調査員は、調査結果を火災原因損害調査報告書(様式第23号)により署長に報告するものとする。

2 署長は、前項の調査結果を消防情報支援システムに入力し消防長に報告するものとする。

第5章 り災証明

(り災証明書の交付)

第66条 消防長は、関係者からり災(水損によるものを含む。)の証明について、り災証明書交付願(様式第24号)により願出のあった場合は、当該火災の調査の結果、確認又は立証し得る事項についての証明を、り災証明書(様式第25号)により交付することができる。

2 前項の証明を受けようとする者は、甲賀広域行政組合手数料徴収条例(昭和48年甲賀郡行政事務組合条例第3号)の定めるところにより手数料を納付しなければならない。

第6章 雑則

(回報)

第67条 消防長又は署長は、火災の原因その他調査事項について、官公署等から照会があったときは、その内容、目的その他必要な事項について回報するものとする。

(部外秘取扱い)

第68条 作成した調査資料(以下「調査資料」という。)は、消防長又は署長の承諾を得ないで関係者以外のものに閲覧させ、又は公開してはならない。

(調査書類の保存)

第69条 調査資料は、甲賀広域行政組合事務処理規程(平成18年甲賀広域行政組合訓令第3号・平成18年甲賀広域行政組合消防本部訓令第10号)第3章の規定に基づき整理し保存するものとする。

(準用)

第70条 この規程は、爆発その他これに類する災害について準用する。

(委任)

第71条 この規程の施行に関し必要な事項は、別に定める。

(施行期日)

1 この規程は、平成7年1月1日から施行する。

(訓令の廃止)

2 甲賀郡行政事務組合火災原因損害調査規程(平成元年甲賀郡行政事務組合消防本部訓令第1号)は、廃止する。

(平成16年10月1日消本訓令第7号)

この訓令は、平成16年10月1日から施行する。

(平成21年4月1日消本訓令第10号)

この訓令は、平成21年4月1日から施行する。

(平成22年4月1日消本訓令第2号)

この訓令は、平成22年4月1日から施行する。

(平成24年3月30日消本訓令第4号)

この訓令は、平成24年4月1日から施行する。

(平成25年3月28日消本訓令第2号)

この訓令は、平成25年4月1日から施行する。

(平成26年4月1日消本訓令第5号)

この訓令は、平成26年4月1日から施行する。

(平成30年3月20日消本訓令第4号)

この規程は、平成30年4月1日から施行する。

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甲賀広域行政組合消防本部火災原因損害調査規程

平成6年12月27日 消防本部訓令第5号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
第7編 業/第2章 防/第5節
沿革情報
平成6年12月27日 消防本部訓令第5号
平成16年10月1日 消防本部訓令第7号
平成21年4月1日 消防本部訓令第10号
平成22年4月1日 消防本部訓令第2号
平成24年3月30日 消防本部訓令第4号
平成25年3月28日 消防本部訓令第2号
平成26年4月1日 消防本部訓令第5号
平成30年3月20日 消防本部訓令第4号